こんばんは。ST工房です。
今回は、前回のブログで少し触れていた 二つ折り財布のオーダー作品 がついに完成しましたので、たっぷり写真付きでご紹介します。
前回のブログはこちら👇
「リピーターさんからの”黒染め名刺入れ”注文と、新しい革の仕入れ報告」

リピーター様からのオーダーに感謝
今回ご依頼いただいたのは、これまで当工房のレザーカービング作品をいくつもご購入くださっているリピーター様。
いつもはBASEで販売中の完成品を選んでいただくことが多いのですが、今回は直接オーダーをいただきました。
「財布の全面にシェリダンスタイルのカービングを入れてほしい」
という熱いリクエスト…本当にうれしかったです。
デザインの工夫:折れ曲がる部分はノーカービング
ただ、二つ折り財布は毎日開閉しますよね。
折り目の部分にカービングを施すと、カットしたラインがダメージを受けやすく、革の破損に繋がるリスクがあります。
そこで、今回は私からご提案して「折れ曲がる部分にはカービングを入れず、左右にデザインを分ける」構成にしました。
快くご了承いただき、左右で違ったテイストを楽しめる作品に仕上がりました。
- 片面はシェリダンスタイルを存分に生かしたガッツリ系カービング
- もう片面は人気のアジロ編み刻印を組み合わせたカービング
同じ二つ折り財布でも、面ごとに雰囲気が違って見えるのがポイントです。



内部の仕様と使いやすさ
内部はシンプルかつ実用的な構造にしました。
- 札入れ ×1
- 小銭入れ ×1(マチ広めでガバッと開くタイプ)
- カードポケット ×4(各ポケットに2枚ずつ収納OK)
最大でカード10枚ほど入れられるので、日常使いには十分な容量です。


ちなみに、この 二つ折り財布の型紙 は、サイズや内部構造が少し異なりますが、公式サイトで 無料ダウンロード を公開しています。
カービング図案は公開していませんが、
「この財布を自分でも作ってみたい!」
と思われた方は、サイト内メニューの 「図案・型紙(無料)」 から、ぜひダウンロードしてみてください😊
財布を引き立てる「立体形成」
今回のこだわりポイントがこちら。

財布の縁を薄く漉き、段差を作ってから 立体形成 を施しました。写真をよく見ると、表面がふわっと盛り上がっているのが分かりますか?
立体形成をすると、ぐっと高級感が増すんです。
……とはいえ、正直この加工はあまりしたくありません。
理由は簡単。
「面倒だから」そして「上手にできないから」(笑)。
しかも私が扱う革は機能性を優先して比較的薄め。立体形成にはある程度の厚みが必要なので、道具もテクニックも求められます。
でも、今回はうまく形を出せと思います。写真でも、立体感が伝わるはず‥‥
使用した道具を紹介
立体形成に使ったのは、YorkShine(ヨークシャイン)のレザーエッジプレッサー(4.0mm幅)。


YorkShineのツールはどれもクオリティが高く、私は菱ギリもこのメーカーを愛用しています。
縁を事前に漉いてから、このエッジプレッサーで革のエッジを丁寧に押さえていくと段差が作れます。


※ 詳しいやり方は、五助屋レザーさんやt.kanno氏のブログの方が詳しいので、興味のある方はぜひそちらを参考にしてください。プロの技術はやっぱりすごいです!
👉五助屋レザーさんのブログはこちら ⇒ 五助屋レザーのレザークラフトブログ
👉t.kanno氏のブログはこちら ⇒ 俺のホビー‼ほぼシェリダンスタイルカービング
まとめ
今回のオーダー財布は、リピーター様のリクエストに応えながら、自分の新しい挑戦「立体形成」も取り入れた特別な一品になりました。
カービングのデザイン性と、機能性を損なわない工夫を両立できたかなと思います。
では、今回はこのへんで。
また次回のブログでお会いしましょう!